急性びまん性脱毛

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[記事公開日]2018/03/14
[最終更新日]2018/05/08
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急性びまん性脱毛とは

急性びまん性脱毛症とは、びまん性脱毛症(広範にわたる脱毛)が急激に生じる症状のこと。女性に多く見られる脱毛症の一つである。重症の場合、脱毛発症から1~2ヶ月で全頭脱毛に至ることもある。予後良好な症状で、適切な治療を受けることによって、発症から数ヶ月で毛髪は元に戻ることが多い。原因には様々なものがあるが、主に自己免疫疾患であると推定されている。よって、同じ自己免疫疾患である円形脱毛症と同じ治療をすることにより、症状が改善することが多い。

急性びまん性脱毛とは

急性びまん性脱毛症はいわゆる「びまん性脱毛症」が急激に発症する症状の総称のことをいう。大量の抜け毛、および広範囲にわたる脱毛症状が特徴である。

急性びまん性脱毛症は、AGA(男性型脱毛症)などとは異なり、特定の原因・メカニズムに基づくパターン化された脱毛ではなく、あくまでも見た目の症状に対する総称である。その症状、および治療効果の観点から、医学的には円形脱毛症の一種として分類されることが多い。

薄毛治療専門クリニック、銀座総合美容クリニックが運営するサイトでは、急性びまん性脱毛症について次のように説明している。

主に女性に発症しますが、稀に男性に発生することもあります。鑑別すべき疾患として梅毒性の脱毛、膠原病に伴う脱毛症、産後等の休止期脱毛があります。急性びまん性脱毛書は円形脱毛症の1種であり、全頭脱毛に至ることもあります。治療は円形脱毛症に準じます。[注1]

急性びまん性脱毛症が重症に至った場合、発症から1~2ヶ月で全頭脱毛となる場合もある。ただし、予後良好な症状としても知られ、適切な治療を受けることにより、一般には数ヶ月で頭髪は再生する。

なお、急性びまん性脱毛症に対して、普通のびまん性脱毛症があるが、両者は全く違う症状である。

普通のびまん性脱毛症と急性びまん性脱毛症の違い

「びまん性」とは、脱毛に限らず、全身の様々な症状に対して使用される医学用語の一つである。特定の部分に病変が見られる症状ではなく、全体にわたって広範に病変が見られる症状を指し、「びまん性」という接頭辞が付けられる。「肝臓全体にわたって」「下半身全体にわたって」などの意味を表現するときに、頭に「びまん性」と付く。

たとえばAGAの場合、前頭部や頭頂部、またはM字型と、決まった部分に薄毛症状が発症する。よって、びまん性の脱毛ではない。

それに対して、更年期における女性ホルモンの低下を原因とした脱毛の場合、「頭髪全体にわたって」広く浅く脱毛症状が発症する。よって、びまん性の脱毛である。

更年期における脱毛のように、症状が緩やかに進行するタイプを「普通のびまん性脱毛症」と言うならば、何らかの原因で症状が急激に進行するタイプが「急性びまん性脱毛症」である。急性びまん性脱毛症は、様々な原因で発症する。

急性びまん性脱毛症の原因

急性びまん性脱毛症が、見た目の症状を指す総称である限り、その治療法は、原因に応じて様々である。以下、例として急性びまん性脱毛症の原因を3点挙げる。

梅毒性脱毛症

梅毒による皮膚疾患の影響で発症する脱毛症。頭髪全体が薄くなっていく「びまん性」の脱毛症の他、直径3~5mm程度の円形脱毛症を生じる場合もある。[注2]

膠原病による脱毛症

膠原病を原因として脱毛が発症する場合がある。症状が「びまん性」を描くこともある。膠原病とは、自己免疫疾患の一つ。横浜労災病院皮膚科部長の齊藤典充医師は、次のように説明する。

膠原病とひとくくりにして呼ばれますが、いくつもの病気があり、その中で脱毛が起きやすい代表的なものは、「全身性エリテマトーデス(SLE)」「シェーグレン症候群」などです。 [注3]

出産後脱毛

産後、女性ホルモンの分泌量が急激に低下することにより、一時的に多量の脱毛を生じることがある。この症状は出産後脱毛と呼ばれる。通常、特定部位の脱毛ではなく、頭髪全体にわたる「びまん性」の脱毛である。

急性びまん性脱毛症の治療法

急性びまん性脱毛症の原因には、様々なものがある。よって、一律の治療法ではなく、原因に応じた適切な治療法が選択される。

たとえば、上記の梅毒性脱毛症の場合、脱毛症状そのものに対する治療は行わない。梅毒が原因での脱毛なので、梅毒を治療することで毛髪は再生する。

あるいは、上記の出産後脱毛の場合には、女性ホルモンの分泌が安定化し、体がその状態に慣れてくることで脱毛は止まる。よって、特別に治療を要する訳ではない(重症の場合や患者が望む場合には治療を行なう)。

これらのように、原因が明確な急性びまん性脱毛症ならば、それに対する適切な処置を行なえば、問題なく脱毛は治る。しかしながら、急性びまん性脱毛症の原因の多くは、不明である。

原因が判然としない急性びまん性脱毛症に対しては、通常、円形脱毛症に準じた治療で症状が改善する場合が多い。なお、円形脱毛症の原因の多くは自己免疫疾患である。上記で挙げた「膠原病による脱毛症」の原因も、自己免疫疾患である。よって急性びまん性脱毛症の原因の大半は、自己免疫機能の異常と推測される。

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