アデノシン

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[最終更新日]2018/05/09
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アデノシンとは

アデノシンとは、体内に存在し、神経の情報伝達において重要な役割を果たしている物質。資生堂と徳島大学の共同研究グループは、このアデノシンに育毛効果があることを突き止めた。日本皮膚科学会でも育毛有効成分として取り上げられ、2004年には厚生労働省から育毛有効成分として認可を得た。現在、アデノシンは特定の育毛剤(医薬部外品)の主要成分として配合されている。AGA外用薬の主成分であるミノキシジルと働きがよく似ている。

アデノシンは神経の情報系統を調整する物質

アデノシンは、アデニンと呼ばれる有機化合物と、リボースと呼ばれる単糖類アルドペントースの一種からなるヌクレオシドの一つである。

専門家でもない限り、この説明では意味不明であろう。よって、かみ砕いて言う。

「アデノシンとは神経の情報系統を調整する物質の一つ。体内で不足すると、神経の命令系統に異常をきたしてしまう物質」

その程度に認識していれば問題ない。

2004年、アデノシンは厚生労働省から育毛に有効な成分として認可を受けた。

日本皮膚科学会における「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」においても、フィナステリドミノキシジルなどの著名な育毛成分と並び、アデノシンが堂々と紹介されている。

以下、同ガイドラインから引用した。

推奨度:B(男性型脱毛症),C1(女性型脱毛症) 推奨文:男性型脱毛症にはアデノシンの外用を行うよう勧める.女性型脱毛症には行ってもよい.[注1]

推奨度Bとは、上から2番目に高い推奨度を指す。同じ推奨度Bの中には、かの自毛植毛などが属している。

なお、アデノシンの育毛効果に着目し研究を進めた機関は、日本の大手化粧品会社「資生堂」である。

アデノシンの有効性(資生堂リサーチセンターと徳島大学との共同研究)

資生堂リサーチセンターの中沢陽介研究員、および徳島大学皮膚科の荒瀬誠治教授らの共同研究グループが、アデノシンの作用に関する研究を行なった。

以下、研究の概要である。[注2]

【薄毛部分の毛乳頭細胞内ではFGF-7が減少している】

被験者の薄毛発症部分・非薄毛部分から採取した毛乳頭細胞を、それぞれ培養。ヘアサイクルに関与するとされる各種遺伝子の発現量を比較した。

結果、薄毛由来の細胞内におけるFGF-7と呼ばれる遺伝子の発現量が、非薄毛由来の細胞内のそれに比較し1/2まで減少。FGF-7が薄毛発症に影響している可能性を示した。

【アデノシンがFGF-7の生産を促すことを解明】

ミノキシジルの発毛効果の一つにアデノシンが関与していることを参考に、アデノシンの毛包に対する作用を研究した。

結果、アデノシンにはFGF-7の生産量を増大させる作用があることを解明した。

【アデノシン配合製剤が毛髪を太くすることを確認】

AGAを発症している男性被験者102名に対し、アデノシン配合製剤の臨床試験を実施した。

結果、毛髪の本数に変化は見られなかったものの、太毛率が有意に増加した。共同研究グループは、アデノシン配合製剤が、産毛化した毛髪を太毛化する作用を持つ、と結論付けた。

アデノシンはミノキシジルによく似ている

アデノシンは、大正製薬「リアップ」の主要成分であるミノキシジルと、様々な面においてよく似ている。なおミノキシジルとは、前出の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」にて最高推奨度のAを獲得した数少ない成分の一つである。

【臨床試験における太毛化の比率では両者に差がない】

94名の男性被験者を対象に、アデノシン0.75%とミノキシジル5%の外用薬塗布試験を行なった。

結果、ともに太毛化が確認されたものの、太毛率においてほとんど差異が見られなかった。この臨床試験について、日本皮膚科学会は次のようにコメントしている。

0.75%アデノシン配合ローションは男性型脱毛症の治療薬として市販されている 5%ミノキシジルローションと同等の有用性があることが示唆された.[注3]

【血行促進作用・血圧低下作用がある点も似ている】

ミノキシジルには、血管拡張による血行促進作用がある。血行が促進されると頭皮への血流が改善し、育毛に必要な酸素・栄養素などが届けられやすくなる。これがミノキシジルの持つAGA改善メカニズムの一つ、とも言われている。一方で、血管拡張作用に連動して血圧低下を招く副作用もある。

アデノシンにもまた血管拡張による血行促進作用があり、育毛作用が期待されている。一方で、やはりミノキシジルと同じく血圧を低下させる副作用のリスクもある。

アデノシン配合の育毛剤を購入する意味

日本皮膚科学会における育毛有効成分の評価において、AGA改善の有効性における最も高い評価Aを受けている成分は、フィナステリド、ミノキシジル、デュタステリドの3種類である。次いでB評価のアデノシンが続く。

発症原因に個人差のあるAGAにおいて、いずれの成分が最も有効であるかは、患者によって異なるだろう。ただし、一般的に考えて、学会がAと認めているものを飛ばして先にBを選ぶことは、合理的ではない。

あえてアデノシンを選ぶ意味を考えるならば、価格の安さである。

アデノシン配合の育毛剤は1本5,000~6,000円で入手できる。クリニックの処方薬に比べ、安い。この価格で薄毛が改善されるならば、極めてコストパフォーマンスが高いと言える。

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