アポクリン腺

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[最終更新日]2018/04/09
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アポクリン腺とは

アポクリン腺とは、汗腺の一種である。すべての人間の体内に存在する汗腺だが、その発達程度には個人差があり、発達の著しい者において、いわゆるワキガを発症する。アポクリン腺の発達・未発達は遺伝によって左右されるが、脂質の多い食習慣によって後天的にアポクリン腺の活動が活発化することもある。脂質の多い食習慣は、同時にAGAの症状を悪化させる要因としても知られる。

アポクリン腺は汗の通り道

汗腺にはアポクリン腺とエクリン線の2種類があるが、これらのうちアポクリン腺は、①脇の下、②乳首の周辺、③耳の中、④陰部周辺、⑤肛門周辺に多く存在する。①から発生するワキガを単に「ワキガ」、②から発生するワキガを「チチワキガ」、④から発生するワキガを「スソワキガ」などと言う。

アポクリン腺が発達していることがワキガの原因だが、世界的に見ると、日本人にはアポクリン腺が未熟な者が多い。つまりワキガ体質の者は少数派である。日本人のワキガ体質の者の割合は、人口全体に対して約10%とされる。

それに対し欧米人はアポクリン腺が発達している者が多い。地域によっても異なるが、ワキガ体質の者の割合は、人口全体に対して70~100%である。

アポクリン腺かからの汗がワキガに至るメカニズム

アポクリン腺からの汗がワキガの原因と説明したが、その汗自体に臭いがあるわけではない。

アポクリン腺から出る汗には、タンパク質や脂質、糖質、アンモニアなどの成分が含まれている。脇の表面に生息している皮膚の常在菌は、これらの成分を分解する。分解の際、ワキガの臭いが発生する。

一方、もう一つの汗腺であるエクリン線からの汗には、タンパク質などの成分はほとんど含まれておらず、多くは水分と塩分で構成されている。つまり、常在菌が分解する分解する成分はほとんど存在しない。よって、エクリン線からの汗がワキガを発生させることはない。

エクリン線からの汗は無臭のまま体全体から蒸発していくが、この蒸発の際、アポクリン腺からのワキガを一緒に連れて蒸発する。体全体からワキガの臭いが漂うように感じられる理由は、このためである。

食生活の影響でもアポクリン腺が発達する

アポクリン腺の発達・未発達については、多分の遺伝の影響がある。民族的にアポクリン腺が発達している地域においては、地域全体が遺伝要因でワキガ体質となる。

ただし、ワキガの要因は遺伝だけではなく他にもある。京都にある美容外科・美容皮膚科、すなおクリニックの土屋沙緒院長(医学博士・日本形成外科学会専門医)は、この点について次のように説明している。

ワキガ体質が多い欧米と少ない日本。その違いは、食文化の影響が大きいと考えられます。肉類など高カロリーで高脂肪の食べ物には、皮脂腺やアポクリン腺を活発にする作用があります。[注1]

土屋院長は続けて、日本人にワキガ体質の者が少ない理由について、日本民族は長く穀物や野菜、魚などを中心とした食文化であったことを指摘する。

さらに、昨今の日本における食習慣の欧米化は、日本人におけるワキガの者の比率を高めている、とも語る。ワキガ体質の元となるアポクリン腺が増えるという訳ではなく、もともと存在するアポクリン腺の働きが、食習慣の欧米化によって活発になる、ということである。

「ワキガ体質の人はハゲる」という噂の根拠

ワキガ体質の者は薄毛になりやすい、との噂がある。この噂は、基本的に誤りである。アポクリン腺の発達と毛髪との間には、何ら関連性はない。

薄毛の大半は、AGA(男性型脱毛症)と呼ばれる症状である。AGAの原因は、男性ホルモンが変質して生成されるDHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる物質。このDHTが毛乳頭細胞に働きかけることにより、ヘアサイクルが乱れてAGAが発症する。一連のプロセスにおいて、アポクリン腺は一切介入しない。よって、ワキガ体質の者が薄毛になりやすいという噂は、間違いである。

ただしAGAは、個人の食習慣により、その症状を悪化させる一面がある。特に指摘されているのが、脂質の多い食習慣である。脂質の多い食事によって頭皮の皮脂分泌量が増加し、毛穴に皮脂が詰まりやすくなってAGAの症状を悪化させる、というものである。

上述の土屋院長が語る通り、昨今の日本人の食は欧米化してきた。食の欧米化とは、具体的に言えば脂質の多い食習慣のことである。脂質の多い食習慣は、ワキガにもAGAにも影響を与える、ということになる。

よって、ワキガとAGAとの間に直接的な関連性は存在しないものの、同じ食習慣が症状を悪化させるというという点において、つながりがない訳ではない。

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