抜毛症(トリコチロマニア)

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抜毛症(トリコチロマニア)とは

抜毛症(トリコチロマニア)とは、無意識または意識的に体毛を抜いてしまう癖である。ただし単なる癖とは異なり、日常生活に支障をきたすレベルまで発展した癖である。よって抜毛症は、単ある抜毛壁とは区別され「病気」と診断される。抜毛症の原因には不明な点もあるが、多くの場合、何らかの精神的ストレスが要因となって発症すると言われている。薬物療法と精神療法を並行して治療が行われる。

抜毛症とは自分の体毛を抜いてしまう病気のこと

抜毛症の対象となる体毛は、頭髪や眉毛、まつ毛であることが多い。

かつて抜毛症は、「習慣や衝動における障害」「衝動抑制における障害」に分類される疾患であったが、現在の国際的な診断基準においては「強迫性障害の関連疾患」に属す。

なお、爪を噛む行為、唇を噛む行為、口の中を噛む行為についても同じ種類の疾病の一つとされている。

【抜毛症の患者は抜毛行為の後に強い後悔の念を抱く】

抜毛症を発症した多くの患者は、自らの体毛を抜いている間、安堵感・安心感を得る。ところが、抜毛行為を終えてその行動を振り返ってみたとき、自らの行動に後悔の念を抱くことが多い。ひいては、「なんとかして抜毛をやめなければ」という思いにかられる。

単なる抜毛癖の場合、時に後悔の念を抱くことはあるももの、抜毛症ほど強く後悔するわけではない。「またやってしまった」というレベルの思いに留まる。この点が、抜毛症と、単なる抜毛癖との違いであろう。

【男性より女性に多く発症する】

男女における抜毛症の発症率は、男性の1に対して女性の10。つまり女性のほうが、男性よりも10倍の発症リスクを持つ、ということである。かつ、10代の思春期の女性に発症例が多いとされる。

ただしこの数値は、あくまでも病院での診断件数に基づくものであることに注意されたい。女性は、男性よりも外見上のコンプレックスを強く感じる傾向がある。ことに思春期は、外見の良し悪しを非常に重視する時期である。病院を受診する件数は、男性よりも女性のほうが多くなることは、容易に想像ができるであろう。

この点を割り引いても、やはり男性より女性のほうが発症リスクは高いとされる。

抜毛症(トリコチロマニア)の原因は遺伝と環境

神奈川県川崎市にある「元住吉こころみクリニック」の説明によると、抜毛症の原因は、遺伝的要因と環境的要因の2つに分かれるとする。[注1]

【遺伝的要因】

抜毛症の患者の家族を観察すると、家族内に強迫性障害を持つ者がいることが多い。そのため、抜毛症には遺伝的要因が存在している可能性がある。

【環境的要因】

抜毛症の患者には、長男・長女が多いとされている。他の兄弟姉妹との養育環境の違い、家族内における役割の違いなどが抜毛症の要因に絡むとみられている。

また家庭内、学校内における人間関係を理由としたストレスもまた、抜毛症の環境的要因の一つと考えて良い。

抜毛症の原因については、まだ不明な点が多い。今後のさらなる研究が待たれる。

抜毛症(トリコチロマニア)の診断基準

アメリカ精神医学会(APA)が公表しているDSM-Ⅴという基準に基づき、抜毛症の診断基準を確認する。なお、DSM-Ⅴは国際的な診断基準にもなっている。

以下の5基準の全てを満たしたとき、抜毛症と診断される。

  1. 抜毛行為を反復し、その結果、体毛を喪失する
  2. 抜毛行為を減らすこと、やめることを何度も試みている
  3. 抜毛により、社会的・職業的などの機能に障害をもたらしている
  4. 他の疾患を原因にした生理学的作用による症状ではない
  5. 他の精神疾患として説明ができない

※基準1にある「体毛を喪失する」は、全ての体毛を喪失しなければ抜毛症ではない、という意味ではない。総合的に判断する。

抜毛症(トリコチロマニア)の治療法

抜毛症の治療は、薬物療法と精神療法(主に行動療法)によって行われる。

【薬物療法】

セロトニンを増加させる薬を処方する。

【精神療法】

薬物で症状の緩和が見られた患者には、行動療法を中心とした精神療法を行う。患者のパターンにより、次の3つのアプローチが検討される。

特定の状況下で抜毛行為を行なう患者

あえて同じ状況を作り出し、抜毛しない不快感を我慢させる。

状況に関わらず抜毛行為を行なう患者

抜毛したいときに我慢する。一般にハビット・リハーサル訓練という方法が採用される。

発達障害の傾向がある患者

抜毛とは別の対象で安心できる材料を与える。たとえば、何らかの特定のモノを握ることで安心感を得る等の癖を付けさせ、抜毛の癖から離れさせる。

なお、抜毛行為によって皮膚科系の疾患が生じた場合には、これも並行して治療を進める。

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