5α還元酵素

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[記事公開日]2018/03/12
[最終更新日]2018/06/18
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5α還元酵素とは

5α還元酵素は、AGA(男性型脱毛症)発症の真犯人とも言える物質。AGAの直接的な原因物質はDHT(ジヒドロテストステロン)であるが、このDHTを作り出す際にキーとなる物質が5α還元酵素である。よって、5α還元酵素の働きを抑える「プロペシア」等を服用すれば、AGAはある程度まで改善を示すことがある。なお、5α還元酵素を抑える主な薬として「プロペシア」の他にも「ザガーロ」が国内承認されているが、ネット上の噂は別にして、ともに副作用の強い薬ではない。

AGA(男性型脱毛症)の原因を作り出す物質

5α還元酵素は男性ホルモンのテストステロンと結合し、AGA(男性型脱毛症)の原因物質となるDHT(ジヒドロテストステロン)を作り出す物質である。5αリダクターゼとも呼ばれる。

俗に「男性ホルモンが多い人はハゲる」と言われるが、単にテストステロンの分泌量が多いだけで薄毛を発症する訳ではない。テストステロン自体は、薄毛を発症させる直接的な原因物質ではないからである。薄毛の直接的な原因物質は、テストステロンが変質したDHTと呼ばれる物質。テストステロンをDHTに変質させる物質が5α還元酵素であるため、AGAの治療においては、5α還元酵素の働きを抑え込む必要がある。

なお、テストステロンは男性ホルモンの一種であるが、女性の体内でも分泌されている。ただし、その分泌量は男性の1/10程度。極めて微量であるため、女性の体内でDHTが生成されても、男性のような薄毛に至るリスクはほとんどない。

5α還元酵素の働きを抑制することでAGAが改善する

上述の通り、5α還元酵素の働きを抑え込めば、AGAが改善する可能性がある。この発想に基づいて開発された成分が、かの有名な「プロペシア」の主成分でもあるフィナステリドである。また、昨今では「プロペシア」とは別のアプローチでAGA改善を目指すデュタステリドという成分も注目されている。

以下、フィナステリド・デュタステリドを含む内服薬に関して、独立行政法人国立病院機構東京医療センターの山本康博医師が監修した記事を主に参照した。[注1]

【フィナステリドを含む内服薬】

フィナステリドを含む内服薬には、世界中で様々なものがある。それらの中で、日本において製造・販売が認可されている主な内服薬は「プロペシア」である。

●プロペシア

AGAの改善を一度でも検討したことのある者であれば、プロペシアの名を知らぬことはないであろう。言わずと知れた、世界で最も有名なAGA治療薬である。発毛・育毛効果の程度や発現までの期間には個人差があるが、長期的に服用を続けることで、患者の90%以上においてAGAの改善効果が見られる。

5α還元酵素には、1型2型の2種類があるが、これらのうちプロペシアは2型の働きを抑える。2型5α還元酵素は、主に前頭部・頭頂部に多く存在している。よって、前頭部と頭頂部に発症することの多いAGAは、プロペシアを服用することにより改善することとなる。

ついでながら、2型5α還元酵素は前立腺にも多く存在し、前立腺肥大症の発症に深く関与している。よってフィナステリドを服用することで、前立腺肥大症も改善される。もともとフィナステリドは、AGAの治療薬ではなく前立腺肥大症の治療薬であった。

【デュタステリドを含む内服薬】

プロペシアとは異なるアプローチでのAGA治療薬として、厚生労働省は「ザガーロ」の製造・販売も認可している。

●ザガーロ

AGAの原因を誘発する5α還元酵素は、前頭部や頭頂部に多く分布している2型である。ところが、この2型を抑え込むはずのプロペシアを服用しても、ほとんどAGAが改善しない患者がいる。そのような患者の中には、まれに1型5α還元酵素の影響も受けてAGAを発症している者がいる。

ザガーロは、1型・2型、双方の働きをブロックする内服薬である。プロペシアではAGAの改善効果が得られなかった患者に対する治療選択肢の一つとなっている。

なお、AGAの原因が2型のみの患者がザガーロを服用しても、高いAGA改善効果は期待できないとされている。

フィナステリド・デュタステリドの副作用

フィナステリド、およびデュタステリドの副作用について、ネット上では様々な憶測や誇大キャンペーンが見られる。それぞれの成分の副作用について、「プロペシア」と「ザガーロ」の添付文書を確認した。[注2][注3]

【プロペシアの副作用】

  • 発症頻度1~5%未満…リビドー減退(性欲減退)
  • 発症頻度1%未満…勃起機能不全、射精障害、精液量減少
  • 発症頻度不明…発疹、睾丸痛、γ-GTP上昇、乳房痛、など

なお、「重大な副作用」として、肝機能障害が挙げられている。肝機能障害を持つ患者に対しては、その症状を悪化させる恐れがあるため、慎重投与を期する。

【ザガーロの副作用】

  • 発症頻度1%以上…リビドー減退(性欲減退)、勃起機能不全、射精障害
  • 発症頻度1%未満…発疹、頭痛、抑うつ気分、女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感
  • 発症頻度不明…蕁麻疹、味覚障害、精巣痛、脱毛症、多毛症、腹痛、など

なお、プロペシアと同様に「重大な副作用」として肝機能障害が挙げられている。すでに肝機能障害を有する患者に対しては、慎重に投与する。

【副作用を恐れる必要はない】

プロペシア、およびザガーロ、ともに男性機能に関する副作用が若干見られる。あるいは乳房痛など、女性的な機能への副作用も確認されている。性的な機能に対する、何らかの影響がある場合がある、ということである。

ただしこれら副作用の報告には、極めて低いレベルでの症状も含まれている。加えて、発症頻度も決して高くない。

様々な憶測はあるが、客観的データのみに照らせば、副作用を極度に恐れる必要はない。

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