グリチルリチン

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[最終更新日]2018/06/12
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グリチルリチンとは

グリチルリチンとは、漢方で言う甘草(かんぞう)エキスと同じもの。甘草と呼ばれる植物の抽出液から精製した薬効成分である。高い抗炎症作用・抗菌作用を持つことで知られ、様々な医薬品に配合されている。これら抗炎症作用や抗菌作用は頭皮環境の改善にも貢献することから、グリチルリチンを配合した育毛剤も多く存在する。グリチルリチンには偽アルドステロン症という強い副作用のリスクがあるが、内服ではなく外用として使用する場合(育毛剤を使用した場合)は、副作用の心配はほとんどない。

甘草から抽出される成分

グリチルリチンは甘草(かんぞう)と呼ばれる植物から抽出された成分であり、漢方で使用されている。いわゆる甘草エキスと同じものである。グリチルリチン酸2kジカリウムと表記されることもある。優れた抗炎症作用・抗アレルギー作用を持つことで知られる成分で、多くの医薬品医薬部外品に配合されている。

また、「チャップアップ」(ソーシャルテック)、「BUBUKA」(T.Sコーポレーション)、「薬用ポリピュア」(シーエスシー)などの著名な育毛剤に配合されていることからも分かる通り、グリチルリチンには育毛作用もあると考えられている。

グリチルリチンの育毛作用

グリチルリチンは、以下の3つの側面から育毛作用につながると期待されている。白石ガーデンプレイス皮膚科クリニック(札幌市)院長の、竹中ちひろ医師が監修した記事を参照にした。[注1]

【抗炎症作用・抗菌作用・白血球活性化作用】

抗炎症作用により頭皮環境を整える

皮脂の過剰分泌や、肌に合わないシャンプーの使用など、頭皮は様々な理由で炎症を起こす。頭皮に炎症は発生し、重症化して毛穴の内部まで炎症が拡大すると、老若男女を問わず脱毛を生じることがある。

グリチルリチンには、これら炎症を抑える働きがある。炎症を抑えることで頭皮環境が改善するため、脱毛症状が緩やかになったり、あるいは脱毛症状が止まったりすることが期待できる。

なお、炎症に対する治療薬として一般に処方される薬剤は、ステロイドである。ステロイドの抗炎症作用は非常に高いものの、副作用が起こる恐れがある点がデメリットである。それに対し、育毛剤等に含まれるグリチルリチンは作用が穏やか。副作用が起こる恐れは、ほとんどない。

抗菌作用により雑菌の繁殖を防ぐ

皮脂が多いタイプの頭皮には、頭皮の常在菌が繁殖しやすい。その影響で、頭皮が脂漏性皮膚炎を起こすことがある。逆に、皮脂が少ないタイプの頭皮は、バリア機能が低下して細菌の影響を受けやすい。その影響で、頭皮が乾燥性湿疹を起こすことがある。

グリチルリチンには、これら菌の繁殖を抑える働きがある。脂漏性皮膚炎も乾燥性湿疹も抜け毛の一因になることから、グリチルリチンによって菌の繁殖を防ぐことで、頭皮環境が良好となり抜け毛予防につながることが期待される。

白血球を活性化させて外部からの刺激を抑える

グリチルリチンには、IL-12と呼ばれる白血球を活性化させる働きがある。これにより頭皮内部の免疫力が強化され、頭皮に侵入したウイルスや細菌の活動を抑える。結果、頭皮環境の改善から育毛作用につながると期待されている。

グリチルリチンの副作用

「グリチルリチン酸2kジカリウム」と表記されると、どこか副作用が強そうな雰囲気がする。一方、同じ成分である「甘草エキス」と表記されると、漢方というイメージから、副作用がない雰囲気がする。

大前提であるが、「漢方は天然由来なので副作用がない」とする言説は迷信である。蕎麦や小麦、蟹、海老などは天然由来であるが、人によっては重篤なアレルギー症状を引き起こす。「甘草エキス」たるグリチルリチンにもまた、副作用のリスクがある。

【グリチルリチンの副作用・偽アルドステロン症】

グリチルリチンの副作用には、いくつかのものが指摘されているが、中でも医師・薬剤師が強く注意喚起をしているものが、偽アルドステロン症である。

以下、亀田総合病院東洋医学診療科部長の南澤潔医師(漢方専門医・総合内科専門医)による説明である。

数ある漢方薬の副作用の中で最も多いのが、甘草による「偽アルドステロン症」です。主な症状は血圧上昇や浮腫ですが、ひどくなると全身の脱力や不整脈誘発の危険にまで至り、重症例では横紋筋融解症を発症することもあるので十分な注意が必要です。[注2]

なお、グリチルリチンの副作用は内服において見られるものであり、育毛剤などのような外用においては、ほとんど見られないと考えて良い。

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