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ニコチン酸ベンジルエステルとは、温熱効果による血行促進作用を持つ成分。米ぬか等に含まれる成分の中から発見された。著名な外用薬「サロメチール」(佐藤製薬)にも配合されている他、いくつかの育毛剤にも配合されている。抜け毛・薄毛は、血行不良によって症状が悪化する。そのため、ニコチン酸ベンジルエステルが持つ血行促進作用によって、抜け毛等の症状に前向きな作用をもたらされることが期待できるであろう。
ニコチン酸ベンジルエステルは血行促進作用を持つ。この成分を塗布することにより、患部に温熱が発生。末梢血管が拡張し、患部および患部周辺の血行が促進される。米ぬか等から発見された成分である。
同成分の血行促進作用を活用した、様々な医薬品・医薬部外品が販売されている。
代表的な医薬品としては、「サロメチール」(佐藤製薬)である。患部に外用することで、ニコチン酸ベンジルエステルを含む各種有効成分が皮膚から浸透し、筋肉疲労や打撲、捻挫、肩こり、関節炎、凍傷などを緩和する[注1]。また、医薬部外品の育毛剤に配合されることもある。
ニコチン酸ベンジルエステルには、温熱効果による血行促進作用がある。ニコチン酸ベンジルエステルの働きに限らず、血行促進作用は毛髪の成長をサポートする。
髪の毛の成長に必要な栄養素は、血液によって毛乳頭まで運ばれる。よって、毛乳頭に十分な血液が届かない限り、髪は健全に成長しない。ストレスや喫煙習慣、睡眠不足などが抜け毛の要因になると指摘されているが、これらは皆、血行不良を招いたことによる抜け毛である。
頭皮の血行改善により抜け毛・薄毛が完治する訳ではないが、症状の進行を予防したり、症状を若干改善したりすることは十分に考えられる。よって、ニコチン酸ベンジルエステルなどの血行促進作用のある成分を含む育毛剤には、毛髪の成長をサポートする作用が期待できる。[注2]
ニコチン酸ベンジルエステルの血行促進作用は、AGAを始めとした様々なタイプの脱毛症に「前向きな作用」をもたらす可能性がある。しかしながら、同成分の血行促進作用だけに頼んでAGAを完治させることは、まず不可能である。
AGAを始め、各種の脱毛症を悪化させる一つの要因として、血行不良があることは確かである。しかしながら血行不良は、薄毛を悪化させる様々な要因の一つに過ぎない。なおかつ、少なくともAGAにおいては、血行不良は抜け毛の主要な原因ではない。
AGAの主要な発症原因は、DHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる物質である。DHTとは、テストステロン(男性ホルモンの一種)が5αリダクターゼ(酵素の一種)と結びつくことによって生まれる物質。このDHTが、毛髪の根元(毛乳頭)に存在するアンドロゲンレセプターと呼ばれる組織と結合し、ヘアサイクルが乱れて抜け毛・薄毛へと至る。
これら一連のプロセスにおいて、血行の良し悪しはほぼ介入していない。よって、いかに血行を促進しようとも、AGAの発症・進行を止めることはできない。
AGAを改善させるためには、5αリダクターゼの働きを抑制し、DHTの生産量を減らす必要がある。臨床試験を通じて5αリダクターゼの働きを抑制することが判明した成分は、フィナステリドとデュタステリドである。
フィナステリドは「プロペシア」に含まれる主要成分である、デュタステリドは「ザガーロ」に含まれる主要成分である。よってAGAの改善を図るためには、まずフィナステリドやデュタステリドの内服が第一選択となる。加えて、ミノキシジルの外用も有効である(※)。
AGAを改善させたい者は、これら内服薬・外用薬の使用をベースにしつつ、補助的にニコチン酸ベンジルエステルを使用することが望ましい。
※内服薬・外用薬以外にも、施術によるAGA治療法も存在する(育毛メソセラピーなど)。
ニコチン酸ベンジルエステルの血行促進作用は、温感刺激を通じて実現される。温感刺激とは、すなわち熱による刺激のことである。
人によっては、この温感刺激を痛みと感じる場合もある。特に、温かい状態の皮膚にニコチン酸ベンジルエステルを塗布した際、強い痛みを自覚することがある。
ニコチン酸ベンジルエステル配合の薬剤を使用する際には、「入浴1時間前には塗布しない」「入浴後は皮膚のほてりが治まってから塗布する」の2点を守るようにする。
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