幹細胞

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[記事公開日]2018/03/14
[最終更新日]2018/06/13
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幹細胞とは

幹細胞とは、あらゆる細胞を作り出す親細胞のこと。どんな細胞でも生み出す能力(多分化能)と、自分自身のコピーを作り出す能力(自己増殖能)を併せ持っていることが特徴である。再生医療で知られるES細胞やiPS細胞は、この幹細胞の働きを根拠にして生まれた理論として知られる。薄毛治療の分野では、幹細胞の成長因子を頭皮に注入するHARG療法が有名。

あらゆる細胞を作り出す親細胞

幹細胞は体の様々な細胞を作り出す「親」となる細胞のことである。辞書的な意味においては、次の2つの能力を併せ持つ細胞のことを幹細胞と言う。

  1. 多分化能
  2. 自己増殖能

【多分化能とは】

多分化能とは、人体を構成する様々な細胞を作り出す能力のこと。皮膚などになる能力があれば「外胚葉」、血管などになる能力があれば「中胚葉」、消化器などになる能力があれば「内胚葉」と呼ばれる。また、これ全てになる能力があれば「多様性幹細胞」と呼ばれる。

【自己増殖能とは】

自己増殖能とは、自分と同じ細胞を作り出す能力のこと。自分と同じ幹細胞を作り出す能力、と考えて良い。

上記2つの能力を併せ持つ細胞を幹細胞と呼ぶが、実際の研究現場や報道現場では、これらの用語の使い方が統一されていない。「多様化」のことを「万能性」と呼ぶ研究者もいる。「多様性幹細胞」のことを「万能細胞」と呼ぶ報道関係者もいる。

これら用語の不統一が一因となり、後述するES細胞とiPS細胞を混同してイメージしている一般人も少なくない。

なお、上記「多分化能とは」で説明した通り、幹細胞とは言え、限定された細胞にしか分化できない種類の幹細胞もある。しかしながら、再生医療の報道等で耳にする幹細胞は、概ね「多様性幹細胞」のことを指している。

再生医療分野での応用 ~ES細胞とiPS細胞~

幹細胞という概念は、過去、我々人類に多くの期待をもたらしてきた。幹細胞を自在に操ることができるようになれば、人体を構成する様々な「部品」を自由に作ることができるからである。この発想から生まれた医療分野が、いわゆる再生医療である。

再生医療の分野には、基軸となるいくつかの理論が存在するが、それらの中でも特に有名な理論が「ES細胞」理論と、「iPS細胞」理論の2つであろう。いずれの理論においても、「多様性幹細胞」を人工的に作り出すことを実現している。

以下、山中伸弥教授で知られる京都大学iPS細胞研究所、および最先端の再生医療で著名なアヴェニューセルクリニック(東京・青山)、各公式サイト[注1]を参考に解説する。

【ES細胞とは】

ES細胞とは、胚から取り出して培養した細胞のこと。胚とは、受精卵が100個ほどまで細胞分裂したもの。卵子が受精したのち、1週間程度で胚となる。1981年にマウスにおけるES細胞が初めて作られ(英国)、1998年に人間おけるES細胞が初めて作られた(米国)。

ES細胞は「多様性幹細胞」であることから、理論上、人体を構成するいかなる「部品」をも作り出すことが可能である。

ただし、通常は他人由来のES細胞を使用することから、「部品」の移植による拒絶反応のリスクを避けられない。また、生命の根源である胚を侵すということ自体に対し、医療倫理上の問題も指摘されている。

【iPS細胞とは】

iPS細胞とは、本人の皮膚などから採取した細胞を用いて作られた、ES細胞と同レベルの「多様性幹細胞」のこと。2006年、京都大学の山中伸弥教授によって発表された。ES細胞が胚からしか作られないことに対し、iPS細胞は皮膚や血液など様々な細胞から作られる点が大きな特徴である。

近い将来、医療現場において革命的な成果を上げる理論であることは確かであろうが、現状、臨床における日常的な応用は難しい。臓器の複製において、人間のサイズに見合う大きさの臓器を完成させたという報告はない。

なおiPS細胞は癌化リスクが指摘されていたが、長きにわたる安全性を高める研究が奏功し、現在ではiPS細胞の癌化リスクは極めて低い。

薄毛治療における再生医療

幹細胞の性質を応用し、薄毛治療分野でも再生医療が導入されている。その代表的な存在と言えるものが、HARG療法である。

【HARG療法とは】

HARG療法とは、HARG治療センター総院長の福岡大太朗(ひろたろう)医師が開発した、薄毛治療における再生医療である。幹細胞(脂肪幹細胞)から抽出した成長因子AAPEを主成分に、ビタミンやアミノ酸を加えたカクテルを頭皮に直接注入する。頭皮内では毛母細胞が刺激され、細胞分裂が活発化して毛髪が再生する。

理論上、HARG療法によって発毛した毛髪は、半永久的に生え続ける。ただし、より高い育毛活動の定着のために、治療後はプロペシアなどの継続服用が推奨されている。[注2]

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