テロメア

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テロメアとは

テロメアとは、細胞内の染色体に付帯している一組織。細胞分裂を繰り返すごとに短くなることが知られている。テロメアが短くなると細胞分裂の活性が落ちて、やがて分裂活動は終わる。毛髪の細胞内にもテロメアは存在している。2009年、テロメアを再び伸ばす働きのある酵素、テロメラーゼが発見された。テロメアを短縮化させず、かつテロメラーゼを増やすためには、生活習慣の見直しが必要である。

染色体を保護する役割をもつ組織

テロメアは細胞の染色体の両端に存在し、染色体を保護する役割を持つ。動物や植物など、細胞内に核を持つ真核生物の細胞のみに存在する組織である。

テロメアは、細胞分裂のたびに、少しずつ短くなることが分かっている。テロメアが短くなると細胞分裂の活性が落ち、やがて細胞は分裂しなくなる。

部位、組織にもよるが、一般に人間の細胞は、テロメアの短縮化とともに約50~70回の分裂を繰り返したのち、やがて「細胞老化」にて分裂が停止する。これらの性質から、テロメアは「命の回数券」と比喩的に呼ばれることもある。

米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のエリザベス・H・ブラックバーン博士らは、テロメアの仕組みの解明に貢献したとして、2009年、ノーベル医学・生理学賞を受賞した。

なお、毛髪を作り出す組織も他と同様に核を持つ細胞組織である以上、テロメアは存在する。よって毛髪においても、やがて「命の回数券」を使い果たせば、細胞分裂は終わることになる。すなわち、薄毛が進行するということである。

テロメラーゼという酵素でテロメアは伸びる

テロメアは、減少へと向かう一方通行の組織ではない。先に挙げたエリザベス・H・ブラックバーン博士らは、テロメアを保護して正確な細胞分裂の反復を促す、ある酵素を発見した。この酵素の働きを活性化させることで、一時的に短縮化されたテロメアが再び伸長することがある。博士らは、この酵素をテロメラーゼと名付けた。

テロメアとテロメラーゼとの関係については、日本経済新聞社の次のたとえが分かりやすい。

「細胞分裂による『引き算』とテロメラーゼの働きによる『足し算』でテロメアの長さが決まる」[注1]

引き算と足し算が拮抗した結果でテロメアの長さが決まる、というたとえである。よって、たとえ高齢であったとしても、足し算が勝っている場合にはテロメアが長い。一方で、たとえ若者であっても、引き算が勝っている場合にはテロメアが短い。

なお、癌細胞は、寄生元である生体の命が続く限り、正確かつ半永久的に細胞分裂を繰り返すと言われている。その理由は、癌細胞におけるテロメラーゼの活性が強いからである。

逆に言えば、癌細胞のテロメラーゼの活性を抑え込むことに成功すれば、有効な癌治療の光明を見出す。現在、この理論に基づいた癌治療の研究が進んでいる。

テロメアを伸ばす方法

エリザベス・H・ブラックバーン博士を始め、同じくテロメア研究の第一人者として知られるヘレン・ラブレツキー博士(米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授)、ディーン・オーニッシュ博士(米国・予防医学研究所所長)、石川冬木博士(京都大学大学院教授)らは、テロメラーゼを活性化させてテロメアを伸ばす方法を具体的に挙げている。[注1][注2]

【瞑想】

ヘレン・ラブレツキー博士は、40代以上の女性23人に対し、毎日12分間の瞑想を2ヶ月にわたり実践させた。その結果、被験者23人のテロメラーゼの量が、平均で43%増加した。

なお、瞑想がもたらす様々な健康効果については、人類の経験値によって既に明らかである。現在、そのメカニズムを解明すべく科学的な研究が進められている段階である。

【運動・食事・睡眠・人とのつながり】

ディーン・オーニッシュ博士は、日常の生活習慣を変えることによるテロメアの状態について、興味深い実験を行なった。「運動・食事・睡眠・人とのつながり」を改善することにより、テロメアの長さが変化するかどうかを調べたのである。

  • 運動…1日30分のウォーキングを週6日実施
  • 食事…オメガ3脂肪酸が豊富な野菜、豆類を中心とした食生活
  • 睡眠…1日7時間以上の睡眠
  • 人とのつながり…家族や地域との関わりを活発にする

以上の生活習慣を5年にわたり続けた被験者たちのテロメアは、平均して10%ほど伸びたという。

自分のテロメアの状態を検査で知ることができる

広島大学発ベンチャーのミルテル(広島市)は、同大学の田原栄俊を中心に、自分のテロメアの状態を知ることができる装置を開発した。この装置による検査により、遺伝子年齢や疾患リスクを知ることができるという。

特定の医療機関で同検査を受けることができ、その費用は3~4万円。2018年には新型の装置が導入される見通しで、もし導入されればさらに検査費用を抑えられるという。[注1]

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