亜鉛欠乏症

TOP » 用語辞典 » 亜鉛欠乏症
[最終更新日]2018/06/13
338 views

亜鉛欠乏症とは

亜鉛欠乏症とは、体内に亜鉛が不足している状態のこと。亜鉛は、人間が健康な体を維持していくうえで欠かせない成分。不足すると、皮膚炎や脱毛、貧血、味覚障害などの様々な健康被害をもたらすことが分かっている。亜鉛を摂取することでAGA(男性型脱毛症)が改善するかどうかは不明だが、薄毛の更なる症状悪化を予防するためにも、日ごろから積極的に亜鉛を摂取されたい。

日に必要な亜鉛の基準量

亜鉛欠乏症は文字通り、体内の亜鉛の量が不足している状態のことを言う。

1日に必要な亜鉛の基準量については、成人男性で10mg/日、成人女性で8mg/日。これに対し厚生労働省の調査では、20歳以上の日本人成人男女の亜鉛摂取量は、基準量よりやや少ないことが分かっている。

亜鉛欠乏症がもたらす様々な健康被害

亜鉛欠乏症がもたらす健康被害の種類について、日本臨床毛髪学会の『亜鉛欠乏症の診療指針 2016』では以下の10種類の症状を挙げている。[注1]

  1. 皮膚炎・脱毛
  2. 貧血
  3. 味覚障害
  4. 発育障害
  5. 性腺機能不全
  6. 食欲低下
  7. 下痢
  8. 骨粗しょう症
  9. 創傷治癒遅延
  10. 易感染症

これら症状の中に脱毛が含まれている点には留意したい。

亜鉛欠乏症が脱毛をもたらすメカニズム

上記、亜鉛欠乏症がもたらす健康被害の筆頭に「皮膚炎・脱毛」がある。この2つの症状がセットで表記されている理由は、亜鉛欠乏症における皮膚炎と脱毛が、同じメカニズムによってもたらされるからである。

体内に存在するすべての亜鉛のうち、約8%は皮膚と毛髪に含まれている。中でも、体の最も表層を覆っている「表皮」という部分に、亜鉛は多く含まれている。

身体が亜鉛不足の状態に陥ると、この「表皮」に炎症が発生。頭皮も皮膚の一種なので、亜鉛不足は頭皮にも炎症が起こりうる。頭皮の炎症が悪化し、毛髪組織の細胞にまで炎症が及んだとき、脱毛を発症することがある。

亜鉛欠乏症による脱毛症状について、TMクリニック院長の岡田里佳医師(日本皮膚科学会専門医・日本内科学会認定医)は、次のように説明する。

頭皮で炎症が起きると髪の毛を作る細胞もダメージを受けてしまい、抜け毛の原因となるのです。抜け毛は、刺激を受けやすい後頭部から始まり、次第に頭部全体に拡大し、眉毛なども抜ける場合があったり、円形脱毛症を発症したりする場合もあるようです。[注2]

亜鉛サプリを摂取するとAGAが治るか?

亜鉛欠乏症は脱毛を招く原因の一種。これに関連して、「亜鉛サプリを摂取するとAGAが改善する」という説もある。この説を理解する上で、AGAの発症メカニズムを理解しておく必要がある。

【AGAの発症メカニズム】

AGAの原因は、DHT(ジヒドロテストステロン)と呼ばれる男性ホルモンの一種である。

DHTは、男性ホルモンのテストステロン5αリダクターゼと呼ばれる酵素が結びつくことによって生まれる物質。このDHTが毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合することにより、ヘアサイクルが乱れてAGAが発症する。

【亜鉛には5αリダクターゼを阻害する働きがある?】

以下、AGAヘアクリニック院長の水島郷太医師によるコメントである。

亜鉛は、DHTの元となる5αリダクターゼを抑制する働きがあるといわれています。[注3]

しかし、亜鉛の摂取量に対してどの程度5αリダクターゼを抑制するのかは不明な点も多くあります[注4]

亜鉛によるAGA改善への効果については、医学会でも賛否の分かれるところである。水島医師は、原則的な立場としては、亜鉛にAGA改善効果があるとの意見を表明する医学者だが、その水島医師においても「不明な点が多い」と明言してはばからない。

AGAを改善させたい者は、遠回りせず、確実にAGA改善効果が認められている「プロペシア」などを服用したほうが良いであろう。

ただし、日本臨床毛髪学会の説明の通り、亜鉛不足が脱毛の一因となることは確実である。AGAによって失われた毛髪を更に減らさない目的で亜鉛を摂取する、という姿勢は正しい。

亜鉛を多く含む食べ物

亜鉛に発毛効果があるかどうかは不明だが、少なくとも、毛髪の健全な育成のために亜鉛が必要であることは確かである。亜鉛欠乏症に陥らないよう、日常的な食事において、亜鉛を多く含む食材を積極的に摂取したい。

【亜鉛を多く含む食材】

  • 牡蠣
  • 豚肉(赤身)
  • 牛肉(赤身)
  • 鶏肉
  • ナッツ類
  • 豆類

これら亜鉛を多く含む食材とともに、毛髪の成長に欠かせない「タンパク質」や「ビタミンB群」なども積極的に摂取する。

なお、以下のものは亜鉛との相性が悪いとされるので、亜鉛とともに過剰摂取することは避けたい。

カルシウム

カルシウムを過剰に摂取した場合、亜鉛の体への吸収を妨げることがある。

食物繊維

食物繊維は、亜鉛などのミネラルと結合する性質がある。食物繊維と結合した亜鉛は体に吸収されにくくなり、やがて体外へ排出される。

食品添加物

インスタント食品等に多く含まれるポリリン酸やフィチン酸等の食品添加物は、亜鉛の働きを悪くする。

関連記事