プロペシアに医療費控除は適用される?

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[記事公開日]2018/07/11
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プロペシアは医療費控除になるの?

医療保険

国税庁の公式ホームページには、医療費控除の対象外となる例として次の文言があります。

容姿を美化し、容ぼうを変えるなどの目的で行った整形手術の費用[注1]

果たしてプロペシアは、医療費控除の対象となるのでしょうか?ならないのでしょうか? 何年も前から続く、終わらない議論です。その答えを、ここで明確にします。

医療費控除制度の概要

※医療費控除について詳しくご存知の方は、この章を飛ばして次から読んでください。

医療費控除制度とは、簡単に言えば、払った医療費の一部が銀行口座に戻ってくる制度のこと。一定の条件を満たした医療費の支払いにおいて、本人が確定申告をした場合に限り、国税庁から所定のお金が振り込まれるシステムのことを、医療費控除制度と言います。以下、医療費控除のポイントを押さえておきましょう。

制度の概要

その年の1月から12月までの1年間において、生計を共にする家族の医療費が10万円を上回った場合、その上回った金額について所得から控除される制度です。

たとえば1年間の課税所得が400万円の世帯の場合、年間でかかった医療費の総額が10万円未満ならば、そのまま400万円を基準に所得税・住民税・保険料が計算されます。

一方で同じく1年間の課税所得が400万円でありながら、年間でかかった医療費の総額が50万円ならば、400万円-(50万円-10万円)で、360万円を基準に所得税・住民税・保険料が計算されます。

課税所得が減ることになるので、その分、税金自体も安くなります。安くなった部分は、税金の「払いすぎ」の状態。この「払いすぎ」の税金が、確定申告を通じて、後日口座に振り込まれます。

保険適用外の治療でも医療費控除の対象になる

一部に認識違いをされている方がいるようなので、念のため確認しておきましょう。

医療費控除制度を利用できるか否かということと、保険診療であるか保険外診療であるかということは、まったく別の話。保険適用外の治療を受けたとしても、国税庁が定める治療範囲であるならば、医療費控除制度の対象となるので誤解のないようにしてください。

原則として美容目的の治療は医療費控除の対象外

冒頭でも明記しましたが、国税庁では次の医療行為に支払った費用について、医療費控除の適用外と定めています。

「容姿を美化し、容ぼうを変えるなどの目的で行った整形手術の費用」

ここで誤解されないようにして欲しいのですが、国税庁は「美容外科で受けた治療」を医療費控除の対象外にしているのではないこと。たとえ美容系の治療であろうとも、美容を変えることが目的でないならば医療費控除の対象になる、ということです。

【美容系の治療でありながら医療費控除の対象となる治療例】

美容外科における一部の豊胸手術

乳癌の手術により乳房が欠損している場合において、その再建手術を美容外科で受けた場合は、美容目的とみなされません。よって医療費控除の対象となります(保険も適用されます)。

ただし、貧乳を巨乳にしたいという単なる豊胸手術の場合は、美容目的とみなされ医療費控除の対象外となります。

歯科医院における大半のインプラント治療

歯科医院におけるインプラント治療において、その治療目的が欠損した歯の再建等を目的とするならば、医療費控除の対象となります(保険は適用されません)。

ただし、歯の見た目を美しくしたいというだけの目的で、健常な歯を抜いてインプラントを受けた場合においては、美容目的とみなされるため医療費控除の対象外となります。

以上2つの例により、漠然と医療費控除制度のイメージはつかめたでしょうか?

では本題ですが、プロペシアの処方代、ひいては薄毛治療にかかった費用は医療費控除の対象となるのでしょうか?ここまで紹介した制度趣旨に照らしてみると、恐らく、対象外になりそうな感じがします。

しかしながら、事はそんなに単純ではありません。

【結論】プロペシアの購入費用は医療費控除の対象になることもある

結論から言うと、プロペシアの処方代が医療費控除制度の対象になることがあります。

AGAは、病気ではありません。薄毛を放置しても何ら健康には影響がない以上、厚生労働省はAGAを病気と認めていません。

よってAGA治療は、たとえば上記の例における乳房や歯の再建治療とは趣旨が異なるため、すべて美容目的と考えることが妥当です。

そうとは言え、なぜかAGA治療が医療費控除の対象となることがあります。理由は以下の2点しかありません。

理由1:税務署によって課税・非課税の解釈が異なる

何が課税の対象となり、何が課税の対象外となるかという点は、最終的に税務署単位で判断することになります。すなわち、あなたが住んでいる地域を管轄する税務署が「プロペシアは医療費控除対象です」と考えていれば、控除の対象となります。

逆に「プロペシアは医療費控除の対象外です」と考えていれば、控除の対象外となります。よってプロペシアが医療費控除の対象となるか否かは、お住まいの地域の運次第です。

確定申告を毎年行っている個人事業主さんならお分かりだと思いますが、経費の算入基準についても、税務署によって解釈が少々異なります。さらに言えば、税務署長が変更になった際も、経費基準が変わることがあります

2018年現在、全国には524ヶ所の税務署がありますが、課税・非課税の最終的な判断は、524人それぞれの税務署長に委ねられていると考えても良いでしょう。

理由2:書類を処理する税務署員によって解釈が異なることもある

一方で、税務署長がすべての確定申告書類をチェックすることなど、到底できません。処理をするのは、末端の職員です。

よって、たまたまあなたの確定申告書類を処理した職員が「プロペシアは医療費控除の対象」と考えていれば、控除の対象となります。その逆もしかり、ということです。

管轄の税務署に直接確認してみましょう

プロペシアの処方代が医療費控除の対象となるかどうかについては、お住まいの地域を管轄する税務署に、直接確認するしかありません。

ネット上の様々な声を聞く限り、意外にも控除が認められる例は少なくない模様です。プロペシア代も含め、年間の世帯医療費が10万円を超えそうな場合には、堂々と電話で税務署に確認してみてください。

プロペシアが医療費控除の対象となった場合に用意するもの

管轄の税務署に確認を取った結果、もしプロペシアの処方代が医療費控除の対象となることが確認された場合、以下の書類を用意してください。

  1. 領収書

    支払った医療費に関する正確な情報を、いつでも税務署に伝えることができるよう、必ず領収書は保管しておくようにしましょう(5年間の保管義務があります)。

    なお、誤解している方が多いようですが、医療費控除の確定申告において、税務署に領収書を提出する必要はありません。書類に合計金額を記入するのみです。などを利用した場合には、その交通費も医療費控除の対象となるので、移動区間や運賃をとんとメモしておくようにしましょう。

  2. 源泉徴収票

    給与所得者の場合は、源泉徴収票を用意してください。勤務先の総務課などに源泉徴収票の発行を申請しましょう。

  3. 医療費控除の明細書・確定申告書

    税務署窓口に取りに行くか、または、国税庁の公式HPからダウンロードします。

  4. マイナンバー

    税務署の窓口で書類を提出する場合には、「マイナンバーカード」もしくは「マイナンバー通知書+本人確認書類1通」を提示します。または、書類にこれらのコピーを添付して提出しても構いません。

例年、確定申告は2月16日~3月15日の1カ月間。この間、忘れずに医療費控除の申告を行ないましょう。

なお、万が一申告の時期を逃した場合でも、医療費控除の事由が発生した年から5年以内であれば、いつでも申告をして税金の調整・還付を受けることが可能です。

プロペシアの医療費控除に関するネット上の議論について

検索バーに「プロペシア 医療費控除」と入力して検索をかけると、実に多くの関連サイトが登場します。

これらの中身を確認してみると、「プロペシアは医療費控除の対象外」と断言する税理士法人もあれば、「税務署に確認したところ、プロペシアを含め薄毛治療にかかった医療費は医療費控除の対象になるとの回答を得た」というコメントをしている人もいます。

これら様々な人たちの様々な見解は、どれも正解です。すでに説明した通り、お住まいの地域を管轄している税務署がどのように考えているか、ということに尽きます。

よって、プロペシアの医療費控除の問題について、ネット上をいかに詳細に調べたところで、永遠に分かりません。問題の答えを知るには、所轄の税務署に直接確認するしか手段はないと考えてください。

プロペシアの医療費控除を検討する上での注意点

プロペシアの医療費控除を検討する際には、次の2点に注意しましょう。

医療費控除は効かないと思い込んでいる医師が多数いる

AGA治療は、間違いなく美容目的に含まれます。よって制度趣旨から考えれば、医療費控除の対象外と考えるのが妥当です。ところが上記の通り、実際には税務署の判断次第で、医療費控除の対象となる場合もあります。

こうした現状について知らない医師は、少なくありません。恐らく多くの医師は、制度趣旨に照らして「医療費控除の対象にはなりません」と断言するでしょう。

控除の対象になるかどうかは、医師ではなく税務署に確認してください。

個人輸入で入手したプロペシアは控除の対象外になる可能性が高い

海外で販売されているプロペシアを、個人輸入で入手することができます。個人輸入で手に入れたプロペシアについては、医療費控除の対象とならない可能性が高いでしょう(念のため税務署に確認してみてください)。

海外製のプロペシアは、日本の厚生労働省が認可した医薬品ではありません。医療費控除制度とは、日本の医薬品を使用した際に適用される制度と考えるべきでしょう。

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